1.30 朗読劇 はなしぐれ 音楽づくりのはなし

朗読劇『はなしぐれ』
吉岡さんの脚本から感じたのは「美しい静けさ」。
それを今回の音楽制作のテーマにしました。

田邊さんより「大人っぽく」とのオーダーがあり、私も脚本を読ませていただき、うん、そうだよね、と思い、つくりました。

所々で弦楽器のピチカートが入るんですが、雨粒です。
セリフも、雨垂れのようにぽつり、ぽつりと感じられるところがあって、一緒に居させてもらいました。

また、ピアノとハープが絡まり合うようなフレーズがあったんですが、それは進と美波を表現しました。ぽろろん、ろん、という感じで。
少しずつ、でも確実に近づいていく2人、です。

今作は全体的にストリングスがしっかり寄り添うことが多かったんですが、それは2人を見守るように雨が煙るのを表現したかったので入れました。
雨の強さや匂い、今作も阪田芙優さんが本当に素敵に編曲してくださいました。
また、ヴァイオリンとヴィオラの演奏も阪田さんで、美しい音をたっぷりくれました。

今回気をつけていたののは、大げさに盛り上げすぎないこと。
このお話の美しい静けさは壊してはいけないと感じました。

いくつか曲の紹介をさせてください。

・M0 テーマ曲。
「ラーソラレーー ラーソラドーー    ラーソラレーミファソラドーーーソーラーー」(楽器をお持ちの方、ぜひどうぞ)4年前に既に決めていたメロディでした。時間が経ったので作り直そうかなと思ったのですが、変えられませんでした。

・M2〜 美波はハープ。進はピアノ。現実の世界の人たち。
マリアはフルート、道留はクラリネット、お兄さんの匂いをこっそり足したくて、時にオーボエが加わったり。(これは田邊さんにも言ってなかったかも)木管楽器は漫画の世界の人たち。

・M8 美波のメロディのピアノ。ラ♭ソシ♭ラ♭〜、彼女の美しい波。メジャーとマイナーを織り交ぜて。
メロディを右手でやさしく弾くだけでやさしい波が生まれる。だから、今回の脚本の「美しい静けさ」を、ここはどうやって表現しようかなと悩んだのですが、うん、やっぱりこれで十分だ、となりました。

・M9 蘭子のテーマ。ここはとてもセンシティブな場面なので、余計な色付けはせず、蘭子が記憶を「淡々と」語る、その心境をイメージして音にしました。弦楽器はヴィオラ。演奏は阪田さんです。

・M11 進と遠藤さん。
遠藤さんの優しくて男気溢れるギターと、進のピアノで。

・M15 13分超え。全ての音に緊張感を持って接しました。

優しい思い出をゆっくり辿っていき、今に向かって膨らんでいく音楽。ヴァイオリンがメロディを綺麗に奏でて誘導してくれるように。ハープも柔らかくピアノと寄り添って。
後半は雨の匂いを思いっきり吸い込んで吐き出すようにつくりました。ちょっと泣きながらつくりました。

・M18 エピローグ 優しく。最後は桜がぽろぽろと舞い散る音。

今回も緊張しながらも楽しく作らせていただきました。
実は木曜日に急性胃腸炎になってしまい本番を観ることが叶いませんでした…
うーん、文字に起こすだけでも悔しい。

音楽のことをSNSに書いてくださった方々、ありがとうございます。
お布団で横になりながら、見つけては励みにしていました。
音を届けてくださった音響の田中さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

2月3日(土)21:00〜 田邊さんと吉岡さんによるはなしぐれ考察会があるそうです。わくわく。

それでは、また。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。