10.18 朗読劇 魔法少女育成計画 音楽づくりのはなし

今作の音楽を一緒につくってくれたメンバーの紹介、そして音楽制作で大切にしていたことのおはなしをさせてください。

まずは阪田芙優(さかたふゆ)さん。今作はこの人無しには語れません。
主に編曲とヴァイオリン、ヴィオラの演奏をお願いしました。
楽曲数が多いので、彼女にたくさん救われました。
ヴァイオリンとヴィオラの演奏はもちろん素晴らしいのですが、そこだけじゃなく、もともと彼女の人や楽曲に寄り添うエネルギーが本当にすごくて。
話をしていてもやわらかさと芯の強さのバランスが心地よくて。私が伝える抽象的な話も、言葉の先の景色をしっかりと捉えてくれる。そして作業が恐ろしく速い。本当に安心してお願いすることができました。
実際の曲の制作の流れは、事前の打ち合わせで共有していた曲ごとのイメージをもとに、私がピアノで弾いたプロジェクトデータを送って、彼女に編曲してもらうというかたちで進めていました。最後は尺の調整も手伝ってもらいました…女神と呼ばせてください。
とても素敵な方です。
千穐楽を川口さんと3人で観に行ったのですが、第3弾が発表されたときに彼女が泣いていて、私も一緒に嬉しくなって彼女の腕をさすさすしていました。第3弾もがんばります。

川口直久(かわぐちなおひさ)さん。
今作は「青い魔法少女の自己主張」のM8(トットポップのテーマ)の編曲、M16(テロリストが攻めてきたところ)のアコースティックギターの演奏をお願いしました。
私がロックを弾けなくて、その割にこだわりはあったので(面倒くさいですね)、ヒアリングを丁寧にしてくれて作ってくれました。彼自身も作曲家として活動しているので、景色の共有もしやすくて。
何より私のわがままにお父さんのように深い優しさを持って対応してくれます。

大里健伍(おおさとけんご)さん。
「青い魔法少女の自己主張」のM17(バトルシーン)のエレキギターを弾いてもらいました。
私のシンガーソングライターの活動でも一緒に演奏してくれていて、景色を大切に演奏してくれるのでギターの演奏では欠かせない存在です。
今回海外に行ったりして忙しい中でレコーディングしてくれました。
トットポップとしてエレキギターを弾いてもらったのですが、あのテイストの曲にエレキギターを成り立たせてくれたのは彼の力です。センスの塊。アニキって感じです。

小笠原一馬(おがさわらかずま)さん。
「青い魔法少女の自己主張」のコミカルな曲全般とM16のパーカッション演奏、「スノーホワイト育成計画」M11のパーカッション演奏をお願いしました。
小笠原さんとはもう長い付き合いなのですが、今作が今までで一番困らせてしまったかもしれません。M16の制作時、私が電話口で「『チャカポコポン、チャカポコポン、チャカポコ』なんですけど」って言って、なかなか伝わらなくて(笑)。でも、やっぱりそこは小笠原さん。結果、最高の「チャカポコポン」ができました。

以上、今回携わってくれた音楽チームの素敵なメンバーでした。
ありがとうございました!



そして、曲づくりのおはなしです。

1ヶ月弱で50曲近く作ったのかな。
今作の目標は「どこもかしこも美しく」「殻を破りまくる」でした。
その中でいくつかご紹介させてください。

○青い魔法少女の自己主張

M0(OP) …メロディのヴァイオリンが低い位置から高いところまで自由に動きます。ピアノの細かい刻む動きはキラキラと光る宝石。その中でテレポートしながらラピスが低いところから高いところへ自由に跳び回るイメージでした。伸びやかなストリングスは少し強く吹く風。前をまっすぐに見据えている彼女の横顔をイメージして音を作りました。
この曲のメロディがいろんな曲に入っていたのですが、気づいてもらえたでしょうか。

M16…タンゴにした理由は、みんな踊るように戦っているイメージだったからです。
かわいさ、躍動感、疾走感、かっこよさ…詰め込んでみました。

M17…ヴァイオリンはラピスで、エレキギターはトットポップ。途中でメロディが絡みあったりして、たくさんの金管楽器、木管楽器、パーカッションの鍵盤楽器、そしてエレキギターがおもちゃ箱をひっくり返したように転調したり、メジャーとマイナーを織り交ぜて戦いの勢いの緩急を表現したりしました。
もうこの楽器数をひとりでミックスするのはやめようと誓った曲でした。

M18…オルゴールは優しい思い出。
M19…M18の優しい思い出の”過去”からキラキラ輝く夜空の星、そしてその優しい思い出を引き継いだまま強くなった「現在」音はピアノと、ラピスのヴァイオリン。
私の中でふかふかの優しさってFコードなので、たっぷり優しい前向きに。

M20…舞台が始まる前に流れていたラピスのテーマのオルゴール曲です。SNSで音源ほしいって書いてくれてた人がいて、すごく嬉しかったです。

○スノーホワイト育成計画

M0(OP)…スノーホワイトのテーマ。いちばんはじめに作りました。マルイノさんのキービジュアルがすごく素敵で、それをデスクトップに表示してずっとずっと眺めながらイメージを膨らませて作りました。アニメも観て、小説も読ませていただいたのですが、スノーホワイトの眼差しや全身のポーズのしなやかさ、繊細で柔らかい色づかい、そして彼女の境遇をヴァイオリンの高音部で音にしてみました。
曲の前半は雪のようにはらはらと舞う花びらです。
最後に花が咲くっていう、言わないとわからないような、言ったらそんな気がするような、そういう感じです。私はいつもそうですね。
コードをF#mにしたのを阪田さんがすごく褒めてくれて、小説ほとんどのシリーズを読み込んだ彼女が言うなら合ってるんだなって安心できました。

M3(フレデリカのテーマ)…いろんな意味であやしい人なので、ヴィオラにしました。
下から舐めるように見つめる眼差しと、「ああ〜」って言いそうな感じと、キービジュアルのあの紫色の感じを音にしました。吉岡、なんですよね。

M7…ピアノ一本!どうしてわかってくれないの!の言葉を読みながら泣いてしまって、弾きました。

M13〜M15(激しめの戦闘曲)…狂っている!あの女は整っているのに狂っている!!という感じで作りました。ヴァイオリン高音部はスノーホワイト、それを支えるように動くヴァイオリン低音部はリップル、狂ったように低い位置から激しく動くフレデリカのヴィオラ、三者の動きを音にしました。

M17(戦闘の終わり)…フレデリカの狂気を音にしました。これは阪田さんが大活躍の一曲。そして気持ちが弱っているときにあまり聴かない方がいい曲。

本番は素晴らしくて、緊張と感動で身体中に力が入りっぱなしでした。
改めて音楽で携わることができて幸せでした。

ありがとうございました!

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