3.28 舞台 最果てリストランテの音楽づくりのはなし

こちらも遅くなってしまったのですが、音楽制作のおはなしを。


「三途の川を渡る前、最後の晩餐をとるためのレストラン。」(公式サイトより)
とても素敵なお話でした。
音楽を担当させていただけて幸せでした。


音楽制作にあたり、メロディは素直に生まれたものの、
作品の中で音楽の存在感が出すぎないよう、実際に曲をつくりはじめてから演出の田邊さんと丁寧に擦り合わせを重ねてつくっていきました。


全16曲の中で何度も出てきたM0(OP)のモチーフ。
家族がテーマのひとつなのですが、お話に合わせて”いい家族”にならないよう、俯瞰したかたちでテーマをつくりました。
そして、”その人”ではなく、その人たちを含めた”景色”が音楽になるように。
三途の川と小さなレストラン。(もう全て終わってしまった)思い出、そして”あの”扉の先へ行ったら全てが本当に終ってしまうこと。それをそれぞれのペース、器で受け入れていく…そんな景色です。


全ての曲に静かな緊張感があって、空白にも意味がしっかりと生まれやすい楽曲になりました。音楽が意味を持ちすぎないように調整していったこともこの作品だからこそだと思います。


全体を通して登場人物のセリフに寄り添いながらピアノでメロディを奏でました。
いつも以上に一音一音の弾き方、音の選び方で大きく景色が変わってしまうため、
とても薄い硝子を扱うような気持ちでピアノに向かっていました。
弾きながらうっかり涙が出ていたこともありました。


私はゲネプロを観劇させていただいたのですが、客席に入った瞬間から空気が澄んでいるように感じました。

役者さんの熱量も素晴らしくて(あと、みなさん足が長い!)今でも思い出すとあのときの空気感が身体中によみがえってきます。


生きている、ということについて考えたり感じたりするヒントをたくさんもらえた作品です。
本当にありがとうございました。

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